荒井裕樹・五井信・瀧田浩・中谷いずみ・山口直孝 編著

A5判並製・カバー装・188頁
定価:本体2000円+税
ISBN:978-4-909710-23-9 C0095
2022年6月刊行予定
ジャンル:文芸

 

23-9ここから始める文学研究.jpg

文学研究って、何するの?


感想文を論文にするためには、どんな思考が必要なのか。
作品成立の背景や時代状況を知り、方法や理論を学ぶと、小説を読むことがもっと楽しくなる。
夏目漱石や泉鏡花といった文豪たちの小説を読みながら学べる、最初の文学研究入門書。

内容紹介

なぜ大学で、日本近現代文学の読み方を学ぶのか。
英語や中国語といった外国語や古典を読むというならともかく、読もうと思えば誰でも読める日本の近現代文学を学ぶ/教える理由について、ときに尋ねられ、ときに回答に頭を悩ませることがあります。身も蓋もないことをいえば、それは「好きだから」であり「面白いから」ということになるのでしょう。面白い小説に没頭して時間の経過を忘れるというのは、とても幸福な経験だと私も思います。でも最初の問いに戻るなら、それでは十分な回答という気がしない。いやむしろ、自分たちの授業の受講生すべてが近現代文学を「好き」で「面白い」と思っているなんて、この本の執筆者は(おそらく)誰も思っていません。……ではなぜでしょう?
少し恥ずかしい気持ちをおさえて大風呂敷を広げるなら、その理由は「思考力を鍛えるため」です。この回答なら、この本の執筆者全員が(これまたおそらく)「それは違う」とはいわないと思います。そう、大学の授業としての日本近現代文学を担当する私たちは、受講する学生諸君たちの思考力を鍛えたいと思っている。有り体にいえば、受講生たちに「もっと賢くなってほしい」と思っています。こんないい方、エラそうかなあ。
(本文より)

目 次

Ⅰ 基礎知識
作品を読むということ/五井信
本文は、絶えず変わってゆく 草稿、原稿、雑誌、単行本/山口直孝
作り手のことを知る意味 作家と作品との関係/山口直孝
同時代/瀧田浩
研究のルールとマナー 引用と剽窃・資料保存・プライバシー/荒井裕樹

Ⅱ 理論の解説
語り その1/語り その2/身体 身体を読む、身体から読む/境界・中心・周縁 世界の境目を読む/読者論/都市論/マルクス主義文芸批評/精神分析批評/エディプス・コンプレックス/フェミニズム・ジェンダー批評/ポストコロニアル批評/アダプテーション

Ⅲ 作 品
外科室/泉鏡花(解説:山口直孝)
少女病/田山花袋(解説:五井信)
夢十夜(「第一夜」、「第三夜」)/夏目漱石(解説:山口直孝)
小僧の神様/志賀直哉(解説:瀧田浩)
施療室にて/平林たい子(解説:中谷いずみ)
疎林への道/小島信夫(解説:山口直孝)
水滴/目取真俊(解説:中谷いずみ)
誕生日の一日/津村記久子(解説:荒井裕樹)

Ⅳ 巻末資料
日本近代文学をさらに深く研究するために 施設とツール

編者プロフィール

荒井裕樹(あらい・ゆうき)
二松学舎大学文学部准教授、日本近現代文学・障害者文化論(マイノリティの自己表現活動)。著書に『障害者差別を問いなおす』(筑摩書房、2020年)、『まとまらない言葉を生きる』(柏書房、2021年)など。2022年「第15回 〔池田晶子記念〕わたくし、つまりNobody賞」受賞。

五井信(ごい・まこと)
二松学舎大学文学部教授、日本近代文学(文学理論、カルチュラル・スタディーズ、映画)。著書に『田山花袋︱他人と文学』(勉誠出版、2008年11月)、『理論で読むメディア文化』(共著、新曜社、2016年5月)、論文に「女子教育のなかの文学―日露戦争前夜の『女学世界』」(『国語と国文学』2017年5月)など。

瀧田浩(たきた・ひろし)
二松学舎大学文学部教授、日本近代文学と文化研究(『白樺』派文学と高度経済成長期の文化が中心的な研究領域)。主要な論文に「武者小路実篤と昭和九年―『維摩経』が書かれた「仏教復興期」をめぐって」(『二松学舎大学人文論叢』2018年10月)、「六〇年代詩と七〇年前後のポップスの状況―渡辺武信と松本隆を中心に」(『敍説』2013年3月)など。

中谷いずみ(なかや・いずみ)
二松学舎大学文学部准教授、日本近代文学・文化(フェミニズム・ジェンダー、戦争と表象文化、文化運動)。著書に『その「民衆」とは誰なのか―ジェンダー・階級・アイデンティティ』(青弓社、2013年7月)、編著に『女性と闘争―雑誌『女人芸術』と一九三〇年前後の文化生産』(青弓社、2019年5月)、論文に「歴史の所在/動員されるホモエロティシズム―大江健三郎「われらの時代」にみる戦争の痕跡」(坪井秀人編『戦後日本を読みかえる3 高度経済成長の時代』臨川書店、2019年3月)など。

山口直孝(やまぐち・ただよし)
二松学舎大学文学部教授、日本近代文学(私小説、探偵小説、現代文学芸術運動)。著書に『「私」を語る小説の誕生―近松秋江・志賀直哉の出発期』(翰林書房、2011年3月)、編著に『横溝正史研究』(戎光祥出版、既刊6冊、2009年4月〜2017年3月)、『大西巨人―文学と革命』(翰林書房、2018年3月)など。