早坂暁『この世の景色』、おかげさまで初版が払底しました!
増刷します!
正直に書いておくと、ここまで出足が良いとは思っていませんでした。
早坂先生はかつて、テレビを中心に、映画・小説・エッセイと全方位的に大活躍された方ですし、その文章の面白さと読みやすさは、誰が読んでも楽しめるものと保証できます。
しかし、日本の出版界では、「脚本を読む」という文化は稀薄です。
脚本そのものを文芸作品として読むということが、一般的に浸透しているとはいえない状況にあります。
「作品としての脚本」は残りにくく、そのぶん脚本家は、小説家などに比べて、時代とともに歩み、時代とともに歩み去っていく印象が強くなります。
時代性が強く日々移ろっていく、テレビというメディアを中心に活躍した脚本家であれば、なおさらです。
早坂先生は、小説やエッセイにも傑作が多いですが、一般的には脚本家として認識されていると思います。
それだけに、このエッセイ集のスピード感のある動きは、嬉しい悲鳴でした。
出版関係者なら頷いてくださると思いますが、増刷を決めるのはとても難しい判断です。
本には配本と返品という仕組みがあり、出荷したからといって実際に売れたというわけではないからです。
半年後には、いま書店店頭でがんばっている初版が、返品されてくるかもしれません。
つまり嬉しい悲鳴は、普通の悲鳴に変わるかもしれないのです。
(そしてこれも出版関係者ならわかってくれると思いますが、初版の売上額はまだ入金されておらず、しかし増刷の請求はすぐに来るのです……)
しかし今回、早坂先生の文章がいまもなお魅力を持っていること、その文章を読みたいという方が確かにいることが、ささやかながらも証明された気がします。
もちろん、小さな出版社が出している本ですから、そんなに多くの部数を刷ったわけではありません。
でも、ひとまず小さな目標としていた部数が達成されそうで、いまは素直に喜びたいと思います。
この本はおそらく、これからも少しずつ読まれていく、小社にとって大事な本になる予感があります。
それはひとえに、早坂暁という作家が、人生の中で誰もが思いを馳せる事柄をきちんと見据えていたからです。
具体的にいえば、「病と死」であり「平和への思い」であり「友人たち」であり「故郷」です。
彼の文章は時代とともに歩み去ることなく、それぞれの年齢や環境に応じて歩み寄ってくるものです。
数多くの文章からそれらを選び抜いた奥様のお力も、素晴らしいものでした。
なお、本書はSNSやネットといった告知媒体よりも、新聞などクラシックなメディアでの反応が良かった実感があります。
これまで記事を掲載してくださった、
読売新聞
愛媛新聞
朝日新聞(掲載日時順)
の方々、本当に嬉しいことでした。
今後も記事掲載が続けばいいなと願っています。
というわけで、明日のことはわかりません。
だから喜べるうちに喜んでおきます。
ヤッター!
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