イベントの最後は、近藤研二さんと大川&藤岡ユニットによるウクレレライブ。
近藤研二さんの演奏は、さすがに聴かせます。
ウクレレ一本とは思えない表現です。
とりわけ、劇中で流れる通称「勉クン、ドウシタカナー」は可憐なメロディが際立つ、素晴らしい音色でした。
そして、マーシャルの歌はチューニングを少し高めに設定するとそれっぽく聞こえるという話が披露され、ちょっと驚きました。
(ここではじめて告白しておくと、僕もこの3月に義弟からウクレレをもらい、以来ちょこちょこと弾いては遊んでいます。伴奏楽器として初歩的なコードをなぞるレベルですが)
「コイシイワ」も「ウォッチェにおいでよ」も、弾いてみても微妙に作中の音と違うような気がしていましたが、チューニングが変則なのですね。
(ちなみにこのテキストは、近藤研二さんの『ウクレレ・モーツァルト』を聴きながら書いています。「ホルン協奏曲」が楽しいですね。ホルン協奏曲なのに、ウクレレ)
途中から大川さんと藤岡さんが加わって、マーシャルの曲を歌いながら演奏します。
「高校時代から惹かれていたマーシャルの歌をこうして歌う機会がやってきて、自分にとってとても大事な時間がはじまります」という趣旨の大川さんのMCが印象的でした。
そして最後の曲の途中で、大川さんのウクレレが止まってしまいます。
感極まっているのかと思ったら、すごい笑顔なのです。
嬉しすぎて演奏が飛んだのでしょうか。
じつに「らしい」シーンでした。
コイシイワ アナタワ
イナイトワタシ サビシイワ
ハナレル トオイトコロ
ワタシノオモイ タタレテ
かなしいことばと、やさしいメロディ。
ライブを包んでいた温かい雰囲気は、『タリナイ』の空気と似ていました。
『マーシャル、父の戦場』の「はじめに」で、監督/編者は次のように書いています。
「戦争が終わっても、遠く離れて二度と会えなくなってしまったアナタに気持ちが届くことはなかったでしょう。それでも─―それゆえか、今日もマーシャルでは、だれかが陽気にこの歌を口ずさんでいます。陽気にというところが、きっとだいじです」
「おわりに」ではこうも書いています。
「出会い、別れた人たちの歌に心奪われてしまった私は、歌をひもとくことで歌詞に込められた愛しさ、哀しみ、断念に触れることになった」
そういう歌を、こういう雰囲気で、(しかも映画制作者たち本人のヴォーカルで)聴くことができたのは、とても楽しく、そして劇場公開1周年/マーシャル上映会達成の記念にふさわしいステージでした。
(目指せ、歌って踊れる映画監督)
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