マイケル・シェイボン『ワンダー・ボーイズ』(早川書房、1997年)
この作家が日本でどの程度有名なのか知らないが(少なくとも僕のまわりで愛読者だという人はひとりも知らないし、この作家が話題になったことも一度もない)、僕はこの小説が大好きで、もう何度も繰り返し読んでいる。
(たしかデヴィッド・ボウイが「ライフタイムベスト100冊」みたいな本に選んでいて、驚きつつ喜んだ記憶がある)
97年初版ということは僕が大学に入った年。
おそらくはじめて読んだのはその頃だと思う。
いま手元にあるのは単行本だけど、のちに文庫本になったときも買った(誰かにあげた)。
映画化されたDVDも持っている(映画もすごく好きな雰囲気)。
昔から、気になる一節があると、本に線を引いたりページの端を折ったりする。
だから再読・三読すると、過去の自分に出会うような気がすることがある。
この本にも何年も(もしかしたら何十年も)前の僕が何カ所かで線を引いている。
たとえば、こんなところに。
「またひと晩、自分のベッドの空虚さに耐えられるとは思えない、と言いたかった。私の人生に、何らかの真実、首尾一貫したもの、明日になっても変わらずに残っていそうなものがあるだろうか、と尋ねたかった」
当時20代だったはずだが、妙なところに線を引いたものである。
そして、そう。今回読み直して、もう一回線を引き直したいような気もした。
誰にでも薦められる本ではないかもしれないけど、いかにも皮肉屋っぽい持って回った語り口、オフビートなユーモア感覚、ひとつひとつが短編小説のような豊富な(ときにどうでもいいような)エピソードなどなどに、僕はすごく惹かれる。
何年かしたら、また読み返すんだろうな。
Comentários