• みずき書林

あなたとあなたに触れたきに

朝からがんセンター。

いつもどおり、診察の後、ケモ。

オキサリプラチンを使わなくなってから、ケモの時間も短縮されてありがたい。いつもどおり、と書けるのもありがたいことだ。

待ち時間、ケモの間、ずっと永田和宏・河野裕子『たとへば君――四十年の恋歌』を読む。

昔いちど読んだ本だけど、いま読むと――がんセンターの待合室で読むと、やっぱり違う。ほろほろ泣きながら読む。


終わった後は妻と銀座でランチ。

銀座の裏のほうには、行ったことのない、美味しそうなお店がたくさん。

ここもあそこも行きたいね。


そのあと、ひとりで東京駅まで歩く。

ステーションホテル内の虎屋カフェで、本の続きを読みながらまた泣く。

いい年した男がひとりで羊羹をつまみながら涙をぬぐっているというのは、どう考えても不格好だが。

このお店も、昔たまに打ち合わせや取材で使っていた。

懐かしいですね、僕はまだ前の会社にいたころですよ。


それから友人たちと会う。

よく食べて、よく喋るのが一番。


「しかし、楽しければ楽しいだけ、そのことによって減っていく時間はいっそう切実に惜しまれるのである」――永田和弘、前掲書「残された時間」より






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