この週末は、編者のおふたりとともに『いかアサ』最後の聖戦(下版前の最終チェック)を行っています。
メッセンジャーを駆使して膨大なやりとり(3人パーティはドラクエ2っぽいですね→寝込んでいるサマルトリア王子の図版貼る。「アーサー王ややこしい名前選手権」の検討。突然九州弁化する小宮先生。などの脱線含む)を交わしながら、それぞれが手元にあるゲラにチェックを入れていきます。
そしてそのさなかに、印刷所からカバーと帯の色校が届きました。
詳細は、そして色校見たときのテンションは、山田南平先生がさっそくにお書きくださっています。
今のところ、色校を見たのは山田先生とデザイナーと僕だけなのですが、早速に写真をとってメッセンジャーにアップ。
我々3人もしばし、山田先生に負けず劣らずの狂乱状態を過ごしました。
今回は、
1.山田先生にイラストを書き下ろしていただく
2.人文書としては前代未聞ながら、装丁を3パターン作る
3.太い帯+箔押しで装丁家も大暴れ
というさまざまな条件が重なり、かなり面白い装丁になったのではないかと思います。
美しく、迫力があります。
これは何というか、電子隆盛の昨今に、モノとしての楽しさや輝きのようなものを感じさせる本になるかもしれません。
とにかく、早く現物を見せたい気持ちです。
たしかに、これはカバー+帯というよりは、もはやダブルカバーに近いかもしれません。
箔もインパクトがすごいです。
コスト的なことを考えると……それはまあ、がんばったのは確かです。
しかし、当たり前ですが、コストを度外視しているわけではありません。
やりたい放題やっているように見えますが、
・カバーと帯の用紙を同じにすることで、コストカットする(付け合わせ印刷といいます。用紙の取り都合の話をすると面倒なので割愛しますが、要するに、カバーと帯の用紙を揃えることで、1枚の紙からたくさん生産できるから結果安いよ。という話です。そもそもカバーを3種類作るというアイデアは、A5の本は46全判に半裁で3面付くところから得たものです。これも詳細は省きますが、3パターンを印刷するから印刷代が3倍になる。という話ではないということです)
・箔押しの版を統一する(箔の色を分けているのでインパクトは十分ですが、箔の位置は3パターンすべて、まったく同じ位置にくるようにデザインされています。つまり、箔押しのための版代はひとつですんでいるのです)
など、細かいところでコスト調整を行っています。
……はっ。
説明が長いな。
しかし、ご心配くださる方もいてくださり、また「このチームは面白ければそれでいいのか」と思われるのも関係者各位に申し訳ないので(笑)、いちお真面目なことも考えているということを説明しておきます。
もちろん、本が売れなければみずき書林が干上がるのは言うまでもありませんが。
しかし小なりとはいえ一応会社ですから、〈売れたのに赤字になった〉みたいなコスト・価格設定は許されません。
今回は、コストカットを主眼にすえてフツーに作るタイプの本ではなかろうと思っていました。
多少気合とコストをかけても、この本に関わり、またこの本を手に取ってくださる方に喜びや驚きを提供できるような本にしたいなと。
下版前チェックであらためて感じましたが、本文がやっぱりすごく面白い。
だからこそ、それにふさわしい衣装をまとわせたかった。
中身はランスロットだけど、乗ってるの荷車じゃん。といわれるわけにはいかんのです。
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