『いかアサ』、慌ただしくなってまいりました。
というのは、3月上旬に発売となると、印刷→製本→流通の日にちが必要なので、編集に使える時間は、実質今週いっぱいなのです。
来週月曜日には、完パケして印刷所に入稿しないといけません。
でもね。索引のノンブルを拾うのはこれからなのです。
目次も奥付もまだ組んでないし。
装丁のカバーと帯は色校をとって山田先生とデザイナーさんに見てもらわなきゃだし。
あまり大きな声ではいえないけれど、校了していない論文があるよ……。
系図もあと一回は著者校正を回さないと……。
特設サイトもアップしないといけませんし。
まあ、下版前のいつもの風景ではありますが、な~かなかバタついています。
具体的にだれがバタつくのかというと、デザイナーさんと組版さんです。
最後の最後は、このおふたり頼み。
で。
山田南平先生もご指摘くださっていますが(コースター、発送済みです! 明日にはお手元に到着するかと思います!)、デザイナーさんの装丁。
アーサー版の帯のグィネヴィアの瞳、お気づきでしょうか?
タイトルを目立たせるために、帯ではタイトルの背景に白い網かけを敷いているのですが、グィネヴィアの瞳だけが白い地色を抜けて浮き上がっています。
太い帯にすることに決めたときから、グィネヴィアが帯に隠れてしまうことは懸念されていました。
しかし、今回のイラストでは、ランスロットとの〈秘密の関係〉が描かれています。
帯で隠れることを逆手にとって、この関係を仄めかせないか……と考えた末の、この瞳の処理です。
つまり、帯が巻かれた状態では、一見するとグィネヴィアとランスロットの関係はわかりづらい。
しかし帯を外すと、ふたりの関係が白日の下に晒される……という演出になっています。
そしてその意図をより強め、かつ気づいた人だけ面白がってくれれば、という匙加減を狙った末の、グィネヴィアの瞳の処理です。
斉藤洋先生にならいつつ個人的な解釈を記すと、グィネヴィアはふたりの男に惚れてしまうという、愛の地獄にいます。
でも恋は不可抗力ですから、それは彼女のせいではありません。
その恋の成就に向けて行動を起こすときには、そこには当人の意志が関わってきます。そうなると、責任が生じます。倫理的な問題を云々する人たちも現れるでしょう(剣に手をかけたガウェインを見よ)。
しかし恋に落ちるまでは、当人にすらどうしようもないことです。それは意志の力でどうにかできることではありません。誰かを好きになるのは、誰のせいでもなく、善悪も倫理も関係ない感情です。
グィネヴィアのこの瞳は、良いも悪いもなく、ただこの感情は否定されるものではないと直感している人の目です。
このあたりの、グィネヴィアをめぐるランスロットとアーサーの関係については、本書の小谷真理先生のテキスト「愛か忠誠か」がものすごくスリリングで面白いです。
ぜひこのイラストとともにお楽しみください。
この案がデザイナーさんから挙がってきたときには、そのささやかかつ大胆すぎる処理に大笑いしつつ、さすがと感心しました。
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