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執筆者の写真みずき書林

デジタルアーカイブ産学官フォーラム


と題されたシンポジウムに行ってきました。

要するに、AHRCやEuropeanaに対するものとしてのジャパンサーチの試験版のお披露目会です。


その後、ちょっとだけ触ってみましたが、たしかに横断検索の便利さと楽しさを両立させようとしていて、あっちに行ったりこっちに行ったりしながら、いつまでも見ていられます。

たとえば「原田豊秋」で検索すると、まあ近現代の人名検索の場合はほとんどがNDLからのヒットになるわけですが、それでも公文書館との横断結果が一気に出てくるので、使いようによってはとても便利だと思います(なぜ原田豊秋などという名前で検索するのかはこちら参照)。



しかし、この日のシンポでそれ以上に面白かったのが、後半の対談とパネルディスカッションでした。

登壇者は『この世界の片隅に』の片淵監督と、渡邉英徳東大教授。

ディスカッションでは、このふたりに広島女学院高校の庭田さんと、広島平和記念資料館の菊楽さんが加わります。

『この世界の片隅に』が当時の広島の市街地を能う限りの緻密さで再現したものであることは知っていました。

しかしそのために実際どのような努力が払われ、その際にアーカイブというものがどれほど役に立ったか(あるいはあと一歩で役に立たなかったか)という話は、具体的な作品があるだけにとてもスリリングでした。

そして、もう一方の話者でありこの対談とディスカッションのコーディネーターでもある渡邉先生の話も、やはり実例としてのカラー化された写真があるだけに、とても説得力がありました。


その論旨をまとめるのは手に余るので割愛します。

ただ備忘録として、おふたりの対話から、ふたつだけ。


当時の広島の天気を知る手段として、アジ歴の資料がとても有効だったこと。

あるいは呉について知りたいときに、オーストラリアの戦争アーカイブが役立ったこと。

普通は、天気とアジ歴は、もしくは呉とオーストラリアは結び付かない。これを結びつけることができるかどうか=〈検索の横断性〉が大事だという話。


歴史的なもの・あるいは映画的なものは触れない。

だからこそ、遺っているものに触ることは、いまと歴史を地続きにする方法である、という話。

白黒写真をカラー化することも、緻密な検証でアニメ内に過去の街並みを再現することも、ともにそこから今も残っている現地に導くという側面がある。


殴り書きで、あの話を聞いていなかった人にはわかりにくいメモですが。


ともあれ、(あまり大きな声では言えないが、ジャパンサーチのお披露目を喰っちゃったんじゃないかと思えるほど)刺激的で面白い話でした。



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