• みずき書林

分かちあうことと分かりあうこと――土門蘭『経営者の孤独。』1/4


土門蘭「人は、置いてけぼりになることで「孤独」になるのではない。人は、進むことで「孤独」になるのだ」

(『経営者の孤独。』P108)



土門蘭『経営者の孤独。』(ポプラ社、2019年)を読みながら書いている。

いま読んでほんとによかったと思える本。 久しぶりに、いままであまり言語化してこなかった、自分のもっとも個人的な部分が巻きこまれていくような読書体験をしている。


いま読んでよかったと思えるということは、2年前に読んでなくてよかった、ということでもある。

(2年前にはこの本はなかったのだが、もしあったとして)


あの頃これを読んでいたら、強い共感とともに、自己嫌悪も耐え難いものになっていたかもしれない。

この本の中で経営者たちは〈孤独〉をテーマに語るのだが、その語りのある種の清々しさに、当時の僕は耐えられなかったのではないか。


この本を読んで再認識したこと。 結局のところ、僕は人から好かれたいと願っている。 それと、いまはひとりで働きたいと思っている。


おそらく僕は、人から好かれたい、嫌われるのが怖い、という感情が人よりも強い。 もちろん、よい本を作りたい、その本を少しでも売りたい、経営をより安定させたい、といった気持ちはある。でもあまり褒められたことではないのはわかっているが、モチベーションの根底には、目の前にいて一緒に仕事をしている「この人に好かれたい」という思いがある。 昨今のSNSの忠告によると、人から好かれたいと願うのは、メンタルをやられる第一条件だそうだ。たしかに、前職の最後のころは、そんな自分に心底うんざりしていた。 いまは、そうでもない。自分はそういう人間なんだから、それに合わせて働いていくしかないじゃないかと開き直っている。


そしてそういう性格と矛盾するのかしないのかわからないが、いまやりたいことは、ひとりで働くことだ。 この本を読みながら、そのことをはっきり自覚した。

経済的に人を雇っているゆとりがないというのは別問題としても、僕はいまのところ、みずき書林という会社にひとりでいたいと思っているし、この組織(といってもひとりだが)を誰かと分かちあうつもりはない。 もちろんあくまでみずき書林というこの組織に限った話で、組織の外に出れば、たくさんの人とつながっていたい。そして多くの人と組織を分かちあっていた頃よりも、いまのほうがはるかに人ときちんとつながって分かりあっていると感じられている。幸いなことに。

でも、最後に戻ってくるのは、たったひとりのこの場所だ。


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