うちの装丁は、けっこう綺麗だと思う。
それはほぼ、装幀家の宗利淳一さんの腕に依っています。
宗利さんと、組版をしてくださっている江尻さんは、この会社を立ち上げようと決めたときに、真っ先に声をかけたふたりです。
このふたりがいれば、丁寧・迅速かつ綺麗な本を作ることができる。
小松健一『民族曼陀羅 中國大陸』は5色刷(4C+金刷)
岡本広毅・小宮真樹子編『いかアサ』は山田南平先生の書き下ろしイラストをフィーチャーして、3種類の装丁。
早坂暁『この世の景色』では男鹿和雄さんが装丁画。
沖田瑞穂『マハーバーラタ、聖性と戦闘と豊穣』では新井文月さんが装丁画。
山本昭宏編『近頃なぜか岡本喜八』では喜八自筆文字を銀箔捺し。
新刊の、蘭信三・小倉康嗣・今野日出晴『なぜ戦争体験を継承するのか』では、金箔捺し。
大川史織編著『なぜ戦争をえがくのか』では、トレーシングペーパーのカバーで、並製なのにチリを作ったりしています。
こういうことは、本当はやらなくてもいいことかもしれません。
僕が作っている人文書は、というか本というものは、中身が全てです。
中の紙の束にどんな模様でインクが刷られているかが大事です。
コストのことを考えても、手間暇を考えても、装幀なんて何か色のついたカバーがくっついていればいいのかもしれません。
でも。
やっぱり綺麗な本というのは、大事だと思います。
電子書籍が普及し、フィジカルナな紙の本が劣勢であるからこそなおのこと、コストの許す範囲で、モノとしての本をなるべく格好よくしたいものです。
ひとり出版社の場合は、本そのものが会社の〈顔〉になる場面も多いと思っています。
何かものすごいアピールポイントがあるわけでもなく、また仮にあったとしても、それを大声で拡散する有能な営業担当者がいるわけではありません。
そういうときに、本そのものが外交官の役を果たしてくれることがあります。
『いかアサ』の装丁がすごいとか。
男鹿和雄さんの画が内容に合っているとか。
たまにそういう声が耳に入ってくることがあって、嬉しくなります。
あるいは書店のショーウィンドウに『なぜ戦争をえがくのか』が並んでいるのを見つけたりすると、嬉しくなります。
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