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  • 執筆者の写真みずき書林

夜はまだあけぬか――5/12


不測の事態が生じて、朝から一日通院。

2日前から、右前の脇腹あたりが周期的に痛む。

昨年8月の腸閉塞のときの痛みに酷似していて、3日目で痛みも引かないので、いささか焦ってくる。


5時頃、目覚めて、がんセンターの時間外窓口に電話。カロナール。

9時、あらためて主治医の先生に電話。すぐに検査と診察の予約を入れてくださる。

9時30過ぎ、準備をしてタクシーで築地へ。

10時過ぎ、採尿・採血・レントゲン。

12時頃、主治医の先生の診察。その場でさらに午後の造影CTの予約を入れてくださる。

13時30分、造影CT。

14時30分、再度の診察。グッドニュースは、腸閉塞の再発でもなければ、がんが明確な病変を起こしているわけでもないということ。バッドニュースは、腹痛の原因は不明。痛み止めを処方してくださる。麻薬と聞くと、ちょっと心理的にはキツいものがあるけれど、その点も十分に説明くださる。

会計を済ませ、薬局に寄って帰宅。

16時過ぎ、朝からほとんど何も食べていなかったので、サンドイッチと温かい紅茶。カロナール。

17時過ぎから19時前まで読書して眠る。

20時過ぎ、妻が作ってくれたうどんとニンジンのサラダ。痛み止め。


再度の腸閉塞の場合は、入院→開腹という昨年夏の再現もありうるかと、早朝の薄暗がりの中ではよくないことばかり考えてしまう。

原因は不明ながら、大事ではないことをよしとしよう。

主治医の先生の迅速な対応もほんとうにありがたい。電話をした一日で、採尿採血レントゲン造影CTと、検査のフルコースを終わらせることができて不安を取り除くことができたことには、感謝しかない。


一日待ち時間が長かった。

この間ずっと、梅棹忠夫『夜はまだあけぬか』を読んでいた。

晩年に両目の光を失った梅棹の、口述筆記による闘病&仕事エッセイ。

実際に会ったことはないが、小長谷有紀先生と組んで、2冊ばかり梅棹の本を作ったことがある。彼ほど頭脳明晰で、しかも平易なことばで書ける学者を知らない。

目の前で起こっていること(見えていないわけだが)、考えたことを、実に的確にわかりやすくつたえる文章。誰でも書けそうな無色透明のような文体だが、実際にこれを書ける人は少ないだろうな。タイトルも秀逸。


そして碩学も、われわれと同じように不安に悩み、恐怖に苦しんでいる。


「このままなおらないのではないか、なおったとしても、まえの状態までにはもどらないのではないか。その不安はずっとつきまとっていた。不安と恐怖、未来の悲観的予想というのは、くりかえしくりかえしあらわれた。(中略)この心理的経験はそうとうに深刻であった。しかし、ふしぎなことにわたしは一ども泣かなかった」


そしてやはり、巨大な知性は強靭でもある。


「わたしがこうなったのは、だれのせいでもない。わたし自身、あのときこうすればよかった、という後悔はなにもない。わたしは、なにひとつ失敗しなかった。わたしは後悔することもなく、ひとのせいでもないことが、ひとつのすくいだとおもった」



荻田泰永さんの冒険研究所書店で出会った一冊

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