1週間前から、宇佐美雅浩氏の写真プロジェクト、No lockdown in Tokyoが公開されている。
コロナ禍、緊急事態宣言下の東京を切り取った写真群。
モチーフは、誰もいない街。
そしてその街をのぞきこむように時折置かれる窓。
視点は地べたを這うように低い。
半分くらい、地面を撮影した写真集といってもいい。
おそらく写真家は、誰もいない地面に寝転がりながら、誰もいない光景を眺めながら、普段だったら絶対に不可能な画角からファインダーを覗きながら、哄笑していたに違いない。
深刻ぶるよりも先に、何かを批判するよりも前に、彼にとってはまず真っ先にこういった景色を作品化することが優先されるのではないだろうか。
良識も常識も持ち合わせながら、そういった「まともさ」を自らかなぐり捨ててやおら走り出すようなところが、この写真家にはあるような気がする。
「だってこんなの、もう二度と撮れませんよ」
といかにも愉快そうに車のハンドルを握る宇佐美雅浩の横顔が見えるようだ。
みなが息をひそめて慄きながら身を潜めている誰もいない街を、カメラを片手にした男が眼を光らせながらうろついている。
あらゆる意味で異様な、ゆえに目が離せない、そんな写真群だ。
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