先日、
「学校図書館はどんな目で本を選び、どんな本を求めているか?」
という演題のセミナーに参加してきました。
全国学校図書館協議会(SLA)の選定部長を長く勤め、いまは研究調査部長をしている方が講師です。
話は2時間におよび、質疑応答もふくめてなかなかためになるものでしたが、当面は児童書や小中学校向けの企画を出す予定はないので、そういったメインの話についてはここでは割愛します。
面白かったのは、学校図書館での書誌情報の登録の仕方でした。
学校図書館では、書誌情報の優先順位を標題紙に置くとのこと。標題紙とは図書館業界での言い方で、つまり本扉のことですね。
これはちょっと意外でした。
出版業界では、書誌情報といえば奥付が圧倒的な優先度を持っていますが、図書館書誌では、本扉の情報が最優先とのこと。
情報を拾う優先順は、
①標題紙=本扉
②奥付
③背文字
④表紙
とのことです(なお、カバーからはいっさい情報を取らない。これは、最近はカバーごと装備する館が多いですが、かつてはカバーを廃棄するのが主流でしたので、そのことが関係しているのでしょう)。
なので、たとえば本扉にデザイン的に入れた文字なども、奥付の表記に関わらず、学校図書館ではそのまま登録されるとのこと。
たとえば本扉に、
温泉ガイド♨日本の秘湯をめぐる!
とデザインしていたら、奥付の表記が「温泉ガイド―日本の秘湯をめぐる!」だったとしても、♨付きで登録されるということらしいです。
さらに、本扉にキャッチコピーなどをぼんぼん入れると、それがそのまま書名の一部として登録されてしまうので避けてほしいとのことでした。
先述の通り、奥付がワンアンドオンリーの情報源だと思っていたので、本扉がそんなに大事だったかと、意外でした。
ちなみに、なぜ奥付を差し置いて本扉が最優先情報源になっているか。
図書館情報学は近代になって欧米社会から入ってきたものです。で、西洋の書物には奥付という概念はなく、扉や扉裏などにクレジットが入っています。なので、書誌の取り方として、扉周りを確認するという西洋流のやりかたがそのまま残っているのだろう、というのが講師の方の推測でした。
きっとその通りなのでしょうね。
漢字文化圏には、奥付(奥書)の伝統がありますが、西洋由来の学問を受け入れたときに、奥付文化との整合性はとらなかった、ということなのでしょう。
いまからでも奥付を最優先に変えればいいのに、と思うのですが、まあ内部的にはいろいろあって簡単にはいかないのでしょうね。
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