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  • 執筆者の写真みずき書林

沖田瑞穂先生の新刊『世界の神話』


沖田瑞穂先生から、新刊『世界の神話』(岩波ジュニア新書)をご恵贈いただきました。

ありがとうございます。


表紙はなんと、ジョン・コリア描くところのグウィネヴィアです。

思えば沖田先生と知り合ったのは、沖田先生が『いかアサ』の小宮真樹子先生と雑誌で対談したことがご縁でした。

〈世界の神話〉の数々の図像のなかで、カバーに選ばれたのがアーサー王伝説ゆかりの画だったことは、個人的にはとても嬉しいですね。



内容面では、メラネシア・バヌアツの神話が気になりました。


*****

空の乙女たちが翼を外して水浴びをしているのを見て、その翼を男が一組隠してしまう。

帰れなくなった乙女のひとりは男と結婚します。

ある日、乙女は男の母に叱られて、涙を流します。すると涙が翼を隠していた土を洗い流し、翼をみつけた乙女は空に戻ってしまう。

男は妻を追って天空に行きますが、妻を連れて降りている最中に男は落ちて死んでしまう。

空の乙女は天空に飛び去ってしまう。

*****


というのが要約です。

いうまでもなく、日本の神話によく似た有名な話があります。

そして、以前にも書きましたが、先日観た『トゥレップ』でも、マーシャルの昔話として、よく似た話が紹介されていました。


このようなタイプの話は、インド、中国、日本、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、北米と、世界各地にあるとのことです。


このような類似がなぜ起こるのか。

「あとがき」のなかで、沖田先生はその可能性を4つに分けて解説されています。


1.元の神話が伝播する場合

2.同じ話型をもった民族(この場合はむしろ語族)が分散する場合

3.人間の心は同じだから、同じ話を作る

4.自然現象は同じだから、同じ話が作られる


出口治明さんは先日お目にかかった際に、単刀直入に「脳が一緒だから、同じ話ができあがる」とおっしゃっていました。


同じ話がぜんぜん別の場所で語られる。

面白いですね。


帯も、さすがジュニア新書



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人生最初で最後になるであろう、自分の本を作っています。 これまで編集者として何冊の本を作ってきたか、前職まで含めると数えることもできません。膨大な数の本を編んできました。 でも自分が著者になるのは今回がはじめての体験です。 そしてほぼ間違いなく、最後の体験になります。 いまは企画書をブラッシュアップしながら、とにかくこれまで書いたブログをすべて読み返しているところ。 ざっとななめ読みして、使えそう

山田南平先生が、先日の往復書簡を受けてブログ記事を書いてくださっています。 いつもブログを読んでくださり、ありがたいことです。 堀くんともども、励みになります。 『自省録』と般若心経の共通点について。 二十歳頃に般若心経に出会った山田先生が、それ以来ずっと指針にしてきたというのはちょっとした驚きでした。 首尾一貫したアーティストの人生には、やはり何らかの指針となるものがあるものなのでしょうか。興味

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