『マーシャル、父の戦場』の増刷を決定しました!
新年早々、嬉しい出だしです。
本書の初版奥付は7月3日。
この日は、本書の中心人物である佐藤勉さんの77歳の誕生日でもありました。
そして増刷を決定した本日1月9日は、奇しくも本書巻頭を飾る大林宣彦監督の81歳の誕生日でした。
勉さんの父である冨五郎さんを除けば、この本に関わってくださったなかでも最年長のおふたりの誕生日に、初版刊行と増刷決定ができたこと、嬉しい偶然です。
佐藤冨五郎という、あの戦争で亡くなった一兵士は、家族の元に届くことを願って日記を綴りました。それが無事に家族に届く可能性が高くないことは、おそらく冨五郎さんも頭ではわかっていたのではないでしょうか。
それでも彼の筆致に迷いはありません。まるで妻や子どもたちが隣にいるように、彼は真情溢れ、かつ自分亡き後の家族を思い遣る具体的な遺書を書いています。
それが息子である勉さんの元に届いただけでも奇跡的なことですが、それがいま1000を超えるひとびとの手元に届き、さらにその数を伸ばそうとしていることは、もはや「奇跡」と呼ぶよりも、暴力や恐怖に対抗するものとして「相応しいこと」と呼んでみたい気がします。
みずき書林はまだ設立して1年に満たず、刊行物は4点しかありません。
そのうちの1冊が刊行半年足らずで増刷できたことは、ほんとうに嬉しいことです。
この本に執筆くださった方々、本をかたちにしてくださったデザイナーや組版・印刷製本の方々、日記を解読するために力を注いだ人たち、関連映画『タリナイ』を作り広めた関係者、すべてをゼロから立ち上げた編者/監督、そして手にして読んでくださった皆様に、心からの感謝を。
おかげさまで僕は、自分だけでは持ちえなかった自主性・独自性・気持ちの強靭さを持つことができています。
第2刷は2月上旬出来予定で進行します。
増刷分も、丁寧に届けていくことができればと思います。

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