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  • 執筆者の写真みずき書林

素敵な大人とは

前期の授業最終日。


いつもはわりと周到に準備をして、何を喋るかもざっと原稿を作って望むのだけど、最後の30分は完全にフリースタイルで。


案の定、フリースタイルで喋ったから、うまく伝えられなったのだけど。



あえて断言しますが、学部の大学生活にとって、授業なんて1割か2割程度の重要度しかありません。

ほかの8~9割は、たとえばサークル活動をしたりバイトをしたり、友だちと徹夜で無意味な議論をしたり酒を飲んだり、恋人を作ったりデートをしたり、そんなことに費やされるものです。

そして何十年も経ってみれば、憶えていること、いまの自分の糧になっているのは、ほとんどすべてそのような授業外の経験です。

サークルの仲間で合宿に行ったり、煙草をふかしながら友だちと深夜の街を徘徊したり、飲みすぎて駅のトイレでゲロを吐いたり、恋人と半同棲生活をした挙句に大喧嘩して別れたり。そんなことばかりを憶えているものです。

(しかし、このコロナ世界ではすべてNGなことばかりだ)



ぼくも大人になりました。

そんないい加減な大学時代も遠く過ぎ去り、サラリーマンになって、取締役を経験して、独立して自営業者になりました。


おそらく、あらゆる感情を十全に感じることが、生きているということです。

これからも世界は変わるし、今からでもまったく遅くはない。


楽しい、嬉しいばかりで人生が進むわけではない。

ときに、悲しみや苦しみや悩みや怒りがやってきます。

それを十全に感じまくることが、たぶん生きているということです。


たかが学部の半年のコマが終わったくらいで、なんとも大袈裟なメッセージです。

でも、あなたたちはかなり特殊な学生生活を送っています。

プラトンがアカデメイアを作って以来、「大学に集まらなくてもいい」というキャンパスライフを送っているのは、(放送大学を除けば(笑))たぶんあなたたちがはじめてです。

非常勤の分際でなんですが、正直、かわいそうだと思います。


大人になるとね、たんにハッピーそうな人とか、たんに楽そうな人を羨むことはなくなるんだ。

それよりも、ちゃんと笑って、でも強く怒って、きちんと喜んで、でもしっかり悲しむことができる人に敬意を抱くようになるもんです。

願わくば、喜びも怒りも、楽しみも苦しみも、あらゆる感情を十全に感じられますよう。

素敵な大人とは、きっとそういう人のことです。


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