• みずき書林

藤田省三と保苅実のことば


一日ずっとPC画面を見ながら原稿整理などしていたら、目が潰れそう。



いま編集中の、

『なぜ戦争体験を継承するのか』

という本の「終章」から、今野日出晴先生の原稿の一節。


〈藤田省三は、本来的には、自分を震撼する物事に対して自らを開いておくこと、物事によって揺り動かされることを歓迎するような態度こそが重要であり、物あるいは事態に対してのこの開放的態度をこそ自由な経験の基本条件としていた〉


……戦争体験の継承をあつかう本の中で、どういう文脈の中でこの一文が出てくるのか。

藤田省三とはどのような人物であるか。

といったことは、ここでは(このブログでは)関係がなく、ただこの引用中で書かれていることはいいなあと思うのです。


喜びや共感は言うまでもなく、辛いことやしんどいことや悲しいことまで含めて、自分の心の震えを見詰めること。

いつか自分はこれを乗り越えるだろうという最終的な楽観だけは手放さないで、心の失調や低迷を否定しないこと。


今野先生のこの原稿では保苅実にも言及されるのですが、数年前にある人に教わって以来、僕のマントラになっている一節があります。


〈自由で危険な広がりのなかで、一心不乱に遊びぬく術を、僕は学び知りたいと思っている〉


保苅のこのことばも、藤井省三の思想と響き合うものがあるような気がします。



……編集中の『なぜ戦争体験を継承するのか』は、ついに先生方の力作が出揃い、巨大な門扉を持った威容を現しつつあります(500頁超えるかも……)。


こういった話題から展開させて、「なぜ戦争体験を継承するのか」について書き始めるととても長くなりそうなんだけど、もう目が疲れたから今日はビールを飲みはじめよう。


いずれまた。


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