『アメリカ現代詩入門 エズラ・パウンドからボブ・ディランまで』
(原成吉著、勉誠出版、2019年)
を読んでいます。
詩の本なので、一気に読み進めることはしないで、少しずつ読んでいるのですが、なかなか面白い。
まず、現代詩の重要な作家をひとりずつ、作家ごとに取り上げているので、区切って読みやすいうえに、それぞれの作家の特性がわかりやすい構成になっています。
また、〈現代詩〉というときに我々の多くが抱くであろう、敷居が高いのではないかという恐れや、自分の読み方が合っているのか合っていないのか(そもそもそこに〈正解〉はあるのか)という素朴かつ根源的な疑問にも、丁寧に応答してくれます。
まだ読了していないのですが、やはりE・E・カミングスが面白い。
この詩人については、かつてこの本の編集担当者に紹介してもらったことがあります。
たとえばこんな詩です。
l(a
le
af
fa
ll
s)
one
l
iness
これは何なのか?
とまずは混乱しますが、よく読んで(見て)みると、パズルのような言葉遊びがとても面白い。
この詩人は、こういう知的かつ遊び心に満ちた作風が魅力なのだと思います。
この本のほとんどすべての詩は、原文とともに翻訳が紹介されていて、それも本書を読みやすくしている一因ですが、上記の詩にだけは翻訳がついていません。
僕はこの詩をはじめて知った数年前に、遊びでこの詩を翻訳してみたことがあります。
さ(
ひ
と
は
ひらひ
らひら
とお
つ)
びしさや
と訳してみました。
原詩がもつ l や i の、あるいは i や a 、oneのもつ複雑な味わいには及びもつきませんが、「ひ」の文字に落ちる葉っぱをイメージしてみたり、日本語に翻訳するのだから575のリズムにしてみたり、行数を揃えたり、戯れに訳しただけでもけっこう面白かったのを憶えています。
ああこういうのが現代詩の楽しみであってもいいのだなと感じたものです。
余談ながら、この本の編集担当者はかつでの同僚であり、いまはたまに会っては本や音楽の話をする若い友人です。
数年前の初対面のとき、僕は面接官で、彼は新卒の入社希望者でした。
彼の面接の前に、採用担当だった後輩から「げんだいしをやっている人が受けに来ましたよ」と言われて、現代史だと思ってよろこんで面接したら、現代詩でした(笑)。
でも無事に採用となり、いまでも付き合いが続いています。
この本についてはまだいずれ、気が向いたら書きます。
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