top of page
執筆者の写真みずき書林

75(4)


「もしかしたら、現在がデビューしてから一番楽しく漫画を描いているかもしれません」

(山田南平、漫画家/ブログより)


先にも書いたように、僕はだいたいのことで75点が取れる。

現実的・社会的・即物的・常識的な対応はできる(と思う。たぶん)。

ひとり出版社に必要な技術は「とりあえずぜんぶ自分でできること」だと思う。何かでものすごいハイスコアを出す必要はないけれど、そのかわり、ひととおりのことはざっくりとできないといけない。


この一連では僕が僕がとうるさいが、何も僕だけが特別に常識的なわけではない(特別に常識的。というのもおかしな表現ではあるが)。これは謙遜でも自己卑下でもなければ、いうまでもなく自慢しているわけでもない。特別な才能のない多くの社会人は能力の高低差で勝負していて、僕はそのバランスが良いと自己規定することで勝負している――せざるをえない――ということだ。


そういう観点で眺めると、僕は何人かの才能のある人に出会った。

彼ら彼女たちが自分のやりたいことに向かっているとき、その横顔はとても格好よく、美しい。

彼ら彼女たちは、それをやらずにはいられない。当人にすらわからない何らかの理由によって、彼ら彼女たちはそれをやめられない。


僕は編集者だから、できることならそういう人たちの横顔を見ていたいと思う。

正面から向かい合って互いの顔を見ていてもしかたがないだろう。

後姿が遠ざかっていくような見つめ方は、できればしたくない。

彼ら彼女たちの表現方法のひとつに本という手段がありうるなら、同じ方向を見ながら伴走/伴奏したいと思う。

ランナーは彼だから、僕は自転車に乗って首からストップウォッチを下げて、伴走する。

主旋律を奏でるのは彼女だから、僕はハモったりリズムを刻んだりして、伴奏する。


同じ方向を見ているゆえに、僕が見るのは彼ら彼女たちの横顔になる。それを見ていたいと思っている。

そして同時に、自分が横顔を見られていることを意識している。

横顔を見つめるものは、横顔を見つめられてもいる。

最新記事

すべて表示

もう一度ちからを

ずいぶん更新が滞りました。 まだ長い文章を書く余力がありません。 ただ自宅に戻り、療養しています。 どうか見守ってください。 ふたたび仕事をしたり、みなと会ったりする力を取り戻せますように。

引き続き倦怠感

またしばらく更新が滞りました。 この数日、倦怠感があったり、急に明け方に高熱が出たり、ちょっとだけ参ってました。 本当はこういうときこそブログや日記を書くべきなのかもしれません。 体調がよくて比較的平穏に過ごせているときだけでなく、ちょっと具体が悪いときほど、書き残しておく...

倦怠感が少し

昨日今日くらい、なんだか倦怠感が強く身体がうまく動かない感じ。 ここのところずっと点滴していたステロイドを半量に減らしたので、その影響もあるのだろうか。 身体に力が入らず、集中力に欠ける状態が続いていて、少しつらい。 まあ、こんな日もあるということで、できる範囲・できる時間...

Comments


bottom of page