ガウェイン卿の物語 アーサー王の円卓騎士の回想
原作:ニール・フィリップ/イラスト:チャールズ・キーピング
/翻訳:岡本広毅
A5判上製・160頁
価格:本体1600円+税
ISBN:978-4-909710-29-1 C0097
2022年11月刊行
装丁・ブックデザイン:宗利淳一
ダメだ、もう何も考えられない。無念だ……。
緑の騎士、結婚、 聖杯探求、そしてランスロットとの友情と戦いまで――
アーサー王のもっとも忠実な騎士・ガウェインを彩るエピソードが、自身の語りによって蘇る。ファンタジーの第一人者による傑作、待望の邦訳。
2022年11月25日、映画『グリーン・ナイト』公開!
内容紹介
フランスにあるランスロット卿の居城——その外に陣取る天幕の中、熱にうかされ負傷したアーサー王の甥ガウェイン卿が臥している。円卓は瓦解、今や騎士たちは反目し合う状況に。アーサーとガウェインはかつての親友ランスロットを包囲している。ガウェインの不安定な脳裏を巡るこの残酷な現実——彼は若き従者に自らの目を通して見た王国の栄枯盛衰を語る。キリスト教の国王に仕えた高貴なる騎士たちの友情、アーサーの幼少期、魔法の剣を引き抜き王になった背景、不可思議な緑の騎士を巡る自らの冒険、聖杯の探求、そして仲間を引き裂いた敵対心と憎しみ。
アーサー王伝説が一つの連続した物語の中で語り直されることは珍しい。独特の雰囲気を放つチャールズ・キーピングの挿し絵とともに、ニール・フィリップは劇的結末へと向かう勇壮な物語をここに提示した。
目 次
日本語版への序文
Ⅰ. 円卓の騎士たち
Ⅱ. 石に刺さった剣
Ⅲ. オウェイン卿と泉の貴婦人
Ⅳ. ガウェイン卿と緑の騎士
Ⅴ. ガウェイン卿の結婚
Ⅵ. 無名の美男子
Ⅶ. パーシヴァル卿
Ⅷ. 聖杯探求
Ⅸ. 聖杯
Ⅹ. ランスロットとグィネヴィア
Ⅺ. ランスロット追放
Ⅻ. イングランドへの帰還
XⅢ. ガウェインの死
Postscript
原作者ノート
あとがき
編者プロフィール
ニール・フィリップ
イギリスの作家、民俗学者、詩人。著書にThe Watkins Book of English Folktales, The Cinderella Story, Horse Hooves and Chicken Feet(アメリカ民俗学会 Aesop Award 受賞) など。The New Oxford Book of Children’s Verse を編集。詩集も三冊出している。また、詩人木島始との共同詩集『四行連詩集——〈充たす〉の巻(対訳現代詩ブックレット)』がある。猫、物語、詩、神話、フォークロアをこよなく愛す。
チャールズ・キーピング
イギリスの挿絵作家、児童書作家、版画家。ローズマリー・サトクリフの子ども向け歴史小説の挿絵を手がけ、20冊以上の絵本を制作。ケイト・グリーナウェイ賞を二度受賞。1975年には『たそがれえきのひとびと』でブラティスラヴァ世界絵本原画展「金のりんご賞」を受賞。
岡本広毅
立命館大学准教授。共編著に『いかにしてアーサー王は日本で受容されサブカルチャー界に君臨したか』(みずき書林 2019), 『中世英語英文学研究の多様性とその展望』(春風社 2020)。映画『グリーン・ナイト』(2022)字幕監修。