• みずき書林

『いかアサ』発売中!――Q&Aその3


【Q3. 増刷って聞いたけど、それまではもう手に入らない?】


質問の短さに対して回答が異様に長いQ&Aも、今回で最終回。


本書は、発売日前に増刷が決まりました。

「いまはもう手に入らないの?」と思っていらっしゃる方もいらっしゃるかと思います。



先に結論を書いておくと、

まだ入手できます(たぶん……)

ということになります。たぶん。



これはQ1Q2、および増刷決定時に書いたテキストとも関連してきます。



まず、いわゆるリアル書店が注文した本はどこでどうなっているのかというと、

1.予約いただいたお客さんの手元にある

2.店頭にある

ということになります。

つまり、本屋さんが注文をくださったケースは、「すでに売り先が決まっている場合」と「売り先が決まっていないから店頭に並べる場合」に分かれるということです。

このうち1は、当然ながらご注文くださった方に行きますので、他の人には入手できません。

2は、当然ながらお店に行けば買えます。


これはネット書店でも同じです。

すでに予約受付中の段階でポチッたひとのところには、自動的に送付されます(これが遅れているのはなぜか。というのが前回の話題だったわけで、重ねてお詫び申し上げます……)。

それ以外の仕入れ部数が、各ネット書店・取次店の倉庫で出番を待っている、ということになります。



ここまでは当たり前の話です。

そして当たり前の話を続けますが、店頭にあったものは、売れることでなくなっていき、順調に売れればいずれゼロになります。

ネット書店の〈在庫あり〉も、本が売れることによって減っていきます。そしてゼロになった段階で〈在庫切れ〉〈重版待ち〉というステータスになります。

そして追加注文をして補充される、というサイクルになります。



今回の『いかアサ』は、予想以上のスピードでゼロ接近が起こって補充が足りなくなり、現時点では、リアル書店の店頭で目視できる場合を除き、

本当に全部売れたのか? それともあるところにはまだあるのか?

がわからないわけです。



……正直言うと、現時点では僕にもわかりません。



先にも書いたように、本は〈書店さんやネット倉庫を間借りして陳列させてもらっている商品〉なので、委託期間の区切りがくる半年後までは、本当に売れたのか、それとも店頭でがんばっているのかどうか(専門用語としては〈店頭在庫〉とも呼びます。あまりいい言葉ではないですが)は正確には把握しずらいのです。



もしも。です。

もしも、昨日発売したばかりの書店店頭分がいきなりなくなり、ネット上でもいつまでも〈在庫あり〉ステータスに切り替わらない場合は、現時点では入手不可能。ということになります。

通常であれば、売れた場合は補充注文が来て、出版社の倉庫から各書店に追加分が送られることになります。

しかし現段階では、小社の倉庫にはもうほとんどないという状況です。増刷ができるまでは補充ができないわけです。

となると、店頭で眼に見えるもの以外で本が残っている可能性があるのは、

1.取次店の倉庫

2.書店のバックヤード(下に引き出しがある棚ってよくありますよね、あそこです)

3.ネット書店の倉庫

となります。けっこう可能性はあるわけです。しかし、これらが予約ですでに売り先が決まってしまっている可能性は否定できません。

先に(たぶん……)と書かざるをえなかったのは、そういう理由です。




でも。大丈夫じゃないかな。さすがに入手できるでしょ……と思っている最大の理由は、あけすけに書いてしまうと、

『いかアサ』が複数の執筆者の参加した研究書だから

です。

ここから、いささか感情的になります(笑)。

僕はこの業界に16年います。

そして、「専門的な論集は売れない」ということを身に染みて経験しています。

この本の初版部数は、まあちょっとぼかしておきますが、しかし数千部単位です。先述のように、ネット書店にはそれぞれ3桁の数を入れています。

繰り返しますが、これが予約&発売後数日でなくなるとは、信じられないのです。そんなことは、いままでなかったことでした。

専門書の論集が実売部数で4桁に乗ることは、あまりありません。

内容が深く、しかも楽しい本になったと自負しています。ポップカルチャーに片足を置いているので、ある種のキャッチ―さがあるのもわかります。執筆者の皆さまは、それぞれのジャンルにおいて最新・最大の知識と技術をもっておられる方々であり、確かな洞察と好奇心に裏打ちされたそのテキストは、個性的で含蓄に富んでいます。造本も独創的です。たんなる研究書ではないものを作ろうという当初の目標は、編者のおふたりの努力とご参加いただいた皆様のお力で達成されました。

しかし、しかしです。

いまの出版業界はかなりシビアです。そう簡単に本が売れる時代ではありません。

これは本書に限らず、謙遜でも韜晦でも自己否定でもなく、たんなる事実です。

SNSなどでかなり盛り上がっているのは実感されます。発売前増刷なんて、これまで経験したことがない事態です。一風変わった面白い研究書が、かつて知らなかった動きを見せているのは確かだと思います。

しかし学術系の出版社としてのワタクシは、本が売れることに対しては、災厄をもたらす予言だけを頑なに信じている村の古老のように懐疑的なのです。


おそらく僕は、この本をめぐる今の恵まれた環境が、周囲の方々のありがたすぎる反応が、まだ信じられないのです。

中高と非モテで過ごした男子が、大学に入ってなぜか異常にモテ始めたみたいなものです。

喜びと戸惑いと疑いのスパイラル。

「もう予約と実売でいっぱいになっちゃってるんじゃないですか? そうなってるといいですね」と優しくおっしゃってくださる方もいるのです(笑)。

そうなっているといいなと心から思います。

本が多くの人に求められること以上に、僕が望むことはありません。

しかし、僕の心の奥底には、クラスメイトがグルになってからかってるんじゃないかという疑いがあります(笑)。

研究書が こんなに 売れるはずがない だから 在庫はどこかに ある はず

と疑ってしまう非モテの哀しい性。

もはやQ&Aの回答ではない(笑)。



もちろん、増刷はすでに手配完了しており、22日には出来上がります。

それが出来上がれば明らかに入手可能になりますので、お待たせしている方には申し訳ありませんが、いましばらくお時間いただけますようお願い申し上げます。


お手に取って読んでいただければ、そしてご感想などお聞かせいただければ、ほんとうに幸いです。



願いを込めて、社名の由来である花水木を召喚


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