自宅に介護用ベッドを入れました。
訪問介護の先生がついてくれます。
食事はうまくいけば流動食になりますが、基本的には点滴です。
苦痛や違和感に耐える時間が多くなり、仕事に裂ける時間は減るでしょう。自由に動ける範囲と時間は減るでしょう。
今後のことはまだわかりません。ただ僕は衰えつつあります。
少し寒いので何か羽織るもながないかと、妻が差し入れに持ってきてくれたバッグを漁ってみました。出てきたのは、ざっくり編み上げたグレーベージュのカーディガン。羽織ってにおいを嗅ぐと、今年の初夏の匂いがします。暑い暑い日でした。
智秋さんの形見です。
その日ぼくらは智秋さんの部屋の片付けに行っていたのでした。
「岡田さんさあ、後ろにあるクリアケースの上から2段目開けてみてくれん? そこにあるカーディガンさあ、自分用に作ったんやけど、サイズ間違えてん。気に入ったらでいいんやけど、よかったらもらってくれる?」
うっそーん?ほんとは彼氏のために編んだけど別れたんちゃうん、と思いましたが、ボタンはちゃんと女前になっています。まあとても暖かそうだし編み目は上品だし、もらっとこうと、鞄に詰めて帰りました。
いま、冬のがんセンターの個室でこのカーディガンに包まれていると、不思議な感慨があります。
ようがんばってるで、と言われているような。
もうちょいきばりや、と言われているような。
ああ。この短文をどう結論づけたらいいのかもわからない。
僕は明日退院するけど、体調は全開とはほど遠く、病状がどちらに転ぶかはわからない。
溌剌と仕事を続けるのはどちらにせよどうやら限界だ。
なんと去年の昨日は、諏訪さん斡旋による荻田さんとのクロストークだったんだ。
みんなに会って、お礼を言いたい。
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