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執筆者の写真みずき書林

日記


昨日は記者クラブで『タリナイ』の上映を観ました。

今日は明治学院大学で、田中祐介さん主催の「近代日本の日記文化と自己表象」の研究会に参加していました。


共通点は、ともに日記を扱っていること。

『タリナイ』と『マーシャル、父の戦場』で扱われた佐藤冨五郎日記は、マーシャル諸島で餓死した一兵士の2年間にわたる日記が題材のひとつになっています。

今日の研究会では、いくつかの日記が俎上に上がりました。そのなかでもとりわけ、明治から昭和まで膨大な日記を綴りつづけ、日本の近現代史に寄り添うように生きてきた吉田得子という市井の女性の日記が印象的でした。


佐藤冨五郎さんは明治39年生まれ。昭和20年に異国の地で、39歳で餓死しました。

吉田得子さんは明治24年生まれ。岡山県で生まれ育ち、昭和49年に83歳の天寿を全うしました。


それぞれに、忘れ去られてもおかしくない人たちでしたが、日記を遺したことで少なくとも誰かの記憶にとどまり、何人かの生き方を揺さぶることになりました。

本人たちはおそらく意識してはいなかったと思います。しかし日記が遺り、思いもかけないつながりを生んで、後世の誰かの想像力を刺激したことがわかれば、きっと得子さんは満面の照れ笑いを浮かべ、冨五郎さんは手を合わせて頭を下げるのかもしれません。



得子さんと冨五郎さん


このブログも、もしかしたら100年後の誰かの関心を呼び起こすことになるかもしれない、などとありえない空想をしながら、今夜も眠ります。


おやすみなさい。

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