初心者のための
アーサー
キャラクター入門

アーサー王物語の最大の魅力のひとつであるキャラクターたち。
ここでは小宮真樹子先生の筆により、主にマロリーに依拠して、多彩な登場人物たちの一部をご紹介。

アーサー: Arthur
イングランド国王。諸事情から身分を知らぬまま育つが、石に刺さった剣を抜くことで正統な王位継承者と認められる。円卓の騎士たちを率いてキャメロットの都を繁栄させるが、王妃グィネヴィアと騎士ランスロットの禁断の愛により王国は分裂する。その隙に近親相姦で生まれた息子・モードレッドに叛逆される。ソールズベリ平原での戦いにおいてモードレッドを倒すが、同時に致命傷を負い、傷を癒すためにアヴァロン島へと旅立ってゆく。


“Comfort thyself . . . and do as well as thou mayst, for in me is no trust for to trust in; for I will into the vale of Avilion to heal me of my grievous wound: and if thou hear never more of me, pray for my soul.”
「気を落とさずに、自分にできる最善を尽くすのだ。もはや私の中には信用に足るものは何も見出せぬのだから。私はこれから怪我を癒すためにアヴァロンへ行く。もし私の噂を耳にすることがなくなったなら、私の魂のために祈ってくれ。」

グィネヴィア: Guenevere
アーサーの妻。円卓は彼女の結婚持参金でもあった。世界で最も優れた騎士とされるランスロットと許されざる恋に落ち、アーサーの王国を破滅に導いた。アーサーの死後は自らの罪を悔い、修道院でその生涯を終えた。

“Through this man and me hath all this war been wrought, and the death of the most noblest knights of the world; for through our love that we have loved together is my most noble lord slain.”
「この方とわたくしのせいで、すべての争いが引き起こされました。そして世界で最も優れた騎士たちが命を失うこととなりました。わたくしたちの愛ゆえに、最も高貴であった夫は殺されたのです。」

ランスロット: Lancelot
フランスのバン王の息子。アーサーが最も信用する騎士であったが、彼の妻グィネヴィアを愛してしまう。聖杯探求に失敗してから彼女への想いを断ち切ろうとするも、それも叶わず、かつての君主であるアーサーと剣を交える結果となった。アーサーの死後はグィネヴィアと同様に俗世を捨て、聖者として亡くなる。


“I love not to be constrained to love; for love must arise of the heart, and not by no constraint.”
「私は、強制されたから愛するのではありません。愛とは心に自然に湧きあがるもので、強制されるものではありません。」

ガウェイン: Gawain
アーサーの異父姉モルゴースと、オークニーのロット王の息子。叔父である王や弟たちを深く愛する。ランスロットが王妃を救出する際に弟のガレスとガヘリスを殺したのをきっかけに、復讐の鬼と化す。しかし、モードレッドの謀反を知った後はランスロットへ手紙をしたため、アーサーを救ってくれるよう嘆願して息を引き取った。


“I promise unto God . . . for the death of my brother, Sir Gareth, I shall seek Sir Launcelot throughout seven kings' realms, but I shall slay him or else he shall slay me.”
「神にかけて誓いましょう。我が弟・ガレスの死に報いるため、私はランスロットを七つの王国までも追いかけます。私が彼を殺すか、彼が私を殺すまで。」

マーリン: Merlin
アーサーの父・ウーサーの代より王に仕えていた魔法使い。未経験なアーサーを予言によって導く。湖の乙女・ニムエに恋をし、膨大な魔法の知識を授けるが、彼女に疎まれ、生きながら岩の中へと封印されてしまう。

“Marvel not . . . for it is God’s will your body to be punished for your foul deeds.”
「驚くことはございません。あなたの汚らわしい行いゆえに、あなたの肉体が罰せられるのは神の意志なのですから。」

ガラハッド: Galahad
ランスロットとコルブニックのエレイン姫の間に生まれた息子。その貞潔さにより、姦通の罪に穢れた父を凌ぐ世界最高の騎士となる。聖なる都市・サラスの王となるが、聖杯探求を完全に成し遂げると同時に天国へと導かれる。


“Lord, I thank thee, for now I see that that hath been my desire many a day. Now, blessed Lord, would I not longer live, if it might please thee, Lord.”
「主よ、ありがとうございます。長年の間望んでいたものを目にすることが出来ました。わたしはこれ以上生きていたくありません、もしもあなたがお赦しくださるなら、主よ。」

ボース: Bors
フランスのボース王の息子。ランスロットの従兄弟にあたる。高潔なるキリストの騎士として、聖杯を拝受することを許された。探求から帰還した後も血縁であるランスロットに従い、彼のためにアーサー王を手にかけようとすらした。アーサーの死後はランスロットと共に隠者となる。


“Fie on your weeping . . . for ye weep never but when there is no bote.”
「泣いても無駄なことです。あなたはいつも、手遅れになってから泣くのですね。」

トリスタン: Tristan
リオネスのメリオダス王の息子で、コーンウォールのマーク王の甥。共に口にした媚薬が原因で、叔父の妻である「美しいイソード」と深く愛し合うようになる。円卓の騎士として活躍するが、卑劣なマーク王により殺害される。


"I thank you . . . but for her love I shall beware what manner a lady I shall love or trust."
「あなたに感謝することにしよう。彼女への愛を通じて、どのような婦人を愛し、信じるべきかがよく分かった。」

アスコラットのエレイン: Elaine of Ascolat
「百合」にたとえられる可憐な乙女。城を訪れたランスロットに激しく恋い焦がれる。彼はエレインの袖を身につけて馬上槍試合へ参加するが、それは変装のためで、王妃へ捧げた想いを棄てることはなかった。報われぬ愛ゆえエレインはこの世を去るが、その美しい亡骸は手紙を携えてキャメロットにやって来る。愛するランスロットに、永遠の別れを告げるために。


“why should I leave such thoughts? Am I not an earthly woman? And all the while the breath is in my body I may complain me, for my belief is I do none offence though I love an earthly man;”
「なぜ、そのような考えを棄てなければなりませんの?私はこの世の女ではありませんか?死ぬまで私は嘆き続けます、だって私はこの世に生きる、とある方を愛した以外に何も罪を犯してませんもの。」