いかにしてアーサー王は山田南平先生に描かれ
本書のカバーに
降臨したか
カバーイラストは、『金色のマビノギオン』で知られる山田南平先生の書き下ろし。
『金マビ』の世界観とはまた異なる、王道かつ本の内容ともリンクするモチーフをちりばめた美しい画は、学術書とは思えません。
ここでは、制作のプロセスの一部始終を大公開!!!
最初期のスケッチ。
ランスロットとガウェインの表情はほぼ固まっているのに対して、アーサー・グィネヴィアの表情はまだ未定です。
のっけから、ランスロットとガウェインを向い合せにすると別の画として成立するという素晴らしいアイデアをいただきました。
背景地の初期段階。
ケルズ風の意匠を用いることは決まっていましたが、背景についてはこのあとどんどん変わっていくことになります。
なお、編者と編集担当者は、これを見た段階ですでに大興奮状態にあり、その状態はイラスト制作の間中続くことになります。
細部が決まっていきます。この時点では、中心であるアーサー夫妻の意匠が先行してきまっていったようです。また腕の動きなども含めてランスロットの細部もかなり出来上がってきたのにたいして、ガウェインはここからかなり変化することになります。
そして第一回の着色。
色がついたことで、インパクトが飛躍的に高まります。
最終版ではガウェインは緑、アーサーは赤、ランスロットは青(白銀)とイメージカラーを持つことになりますが、この段階では全員が赤をイメージさせる衣装をまとっています。
そして細部の意匠が決まっていきます。編者のおふたりの要望もとり入れられ、本書や原典を読めばニヤリとしたり感心したりできるモチーフがちりばめられていきます。
ここでガウェインは甲冑をまとい、臨戦態勢になります。
山田先生の楽しいコメントにも注目です。
細部が決まったところで、あらためて全員集合。理想的な身長差。
以上のようにキャラクターの細部を決めていきながら、同時に背景についてもご相談していました。とくに円卓はやっぱり入れたいよね……ということになり……
左は背景の初期設定。ケルズ風のデザインが入る案。これを円卓にできれば、騎士たちの友誼と確執を効果的に示唆できるのではということになりました。
右は円卓に配置する騎士たちや中央の文字を検討するラフスケッチ。いきなり画のタッチが激変するのは、このスケッチだけ小宮先生の描いたものだからです。
正式完成版に向けて、いよいよ繊細な作業が進んでいきます。
マルチライナーという細密画用のミリペンで進めてくださっていたのですが、線がかっちりしすぎるのが気になったので、シャーペンに切り替えられたとのことです。左の画、右がペン画で左がシャーペン画。このあたりのプロのお仕事には瞠目させられます。
そして色がついていき……
(山田先生の活き活きしたコメントとともにお楽しみください。※クリックで拡大します)
ついに完成……!!!