10月19日、夜。
ハノイ。
遠藤薫さんと水城さん夫妻のご自宅で、大川さんの『タリナイ』のスクリーニング。
やってきたのは、ベトナム在住の若いアーティストや美術関係者、アメリカは(たしか)ミネソタ出身の画家、ベトナムに滞在中の日本の若いアーティストなど15人ほど。
みんな遠藤さんの友達です。
隣のキッチンでは、天丼を作ります。
茄子、蓮根、にんじん、さやいんげん。
その日の朝に近くのマーケットで買ってきた大量の海老(遠藤さんは値切り交渉がうまくいかずにリベンジを誓っておられました)。
お米は、佐藤勉さんが送ってくださった宮城は「ひとめぼれ」の新米。
丼汁は、浅草のかどやに行って、特別に分けてもらったもの。
七味もかどやのものです。
ついでに書いておくと、ごま油は小豆島で買ってきた、これも「かどや」ブランドのもの。
こういったものは日本から持ち込みました。
そのほか、遠藤さんご夫妻が用意くださったバインミー、揚げ春巻き。
そして大量のビール。
僕はおもにキッチンに立って、ビール片手に天ぷらを揚げながら歓談します。
茄子と蓮根が人気。
そのうちベトナムの子たちが揚げはじめたので、もっぱら飲み・歓談役に。
20:30くらいから上映開始。
僕はひとりでキッチンにいて、ドア越しに上映を見ています。
エアコンの調子が悪いので窓が開けられていて、ハノイの虫の音がすぐ近くで聞こえています。
画面の中では、勉さんが浅草のかどやに入り、天丼を食べます。
われわれはハノイで、同じ天丼のたれを使った天丼を食べたところです。
キッチンのドアから外に出てみます。
虫の音がさらに強くなります。
遠藤さんの庭には大きな椰子の木が二本立っていて、それを見上げます。
悲惨な状況を伝える冨五郎さんの日記を読み上げる藤岡さんの声が届き、マーシャルの歌が重なります。
最近涙もろい僕は、ひとりでそっと涙ぐみます。
僕ハ反対ニ沈ンテ行ク
セメテ カドヤノ 天丼デモタベタイ
ハノイで天ぷらを揚げて、マーシャルの歴史とつながること。
ある日本兵の日記をめぐる歴史実践。
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