がんばろう。
ということばを使わないようにしてやってきました。
ついうっかり口にしてしまった後は、決まって後悔しました。
がんばろう。というのは、傾斜を上から下に転がり落ちて、言われる側を押しつぶしてしまうような響きを持っています。
でも最近は――きわめて限定された範囲内での話ですが――このことばを使ってもいいと思える場面があります。より正確には、
一緒にがんばろうや。
というニュアンスですが。
なんどもなんども考えて、繰り返し話し合った後では、ことばはシンプルに切り詰められていきます。
言うほうと言われるほうの両方にそのことばを選ぶ――そのことばしか選びようがない――という了解があるのなら、あらゆることばは有効に働いてくれます。
なにを言うかは大切ですが、より以上に、誰が言うかが重要です。
なんて言えばいいのかわかりません。
痛みや苦しみやいつだって極めてパーソナルなものです。
でも少し遠くから眺めれば、われわれがかろうじて立っているのは、傾斜のない場所です。
だから、僕がこう言うときには、わかってほしいんだ。というか、お互いにわかっているとわかっているから、あえてこう言える。
一緒にがんばろうや。
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