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  • 執筆者の写真みずき書林

「また会いましょう」

今日は懐かしい母校で、たくさんの久しぶりの人たちに会いました。

なかには20年ぶりくらいに再会した人すらいました。

早稲田大学の映画サークル。

我々がそこに入ったのは、もう前の世紀の出来事です。


とても楽しい一日でしたが、全員とちゃんと話をする時間はありませんでした。


僕の病気のことは、事前に話としては皆に伝わっていたと思います。

でも実際のところはいま僕がどんな状態にあるのかは、ちゃんと話ができませんでした。

きっと心配してくれていた人もいたと思います。


ここに今の状態をちょっと書いておきます。


こんなふうに書きはじめるとヘヴィな話なのかと思うかもしれませんが、幸いなことに、そこまで暗い話ではありません。

もちろんステージ4のスキルスというスタート地点がかなりヘヴィなのは間違いないのですが、とはいえ、最近は調子よく過ごしています。


まず、抗がん剤の副作用が、覚悟していたほど重くないのが一番いい面です。

副作用の出方は体質によってかなり違うとのことなのですが、ほんとうに幸いなことに、治療開始から6週間が経過して、いまのところ副作用は重くありません。


次に、今日会えたというタイミングもばっちりでした。

抗がん剤治療は3週間で1クールになります。

まず病院で点滴を打ち、その日から飲み薬を2週間のみ、最後の1週間は休薬期間になります。

副作用が軽めとはいえ、やはり点滴をしたあとの数日間は具合が悪くなります。

そしてやっぱり、休薬期間の最後の1週間が一番体調がいい。

今日は休薬期間の週末でした。だからとても調子がよかった。

そんなタイミングで学生時代の旧友たちに会えたことは幸運でした。



というわけで、いまのところ僕は比較的平穏に、これまでと同じように過ごせています。

今日会った人たちも、そんなに具合が悪そうな印象は持たなかったはずです。



最後に当面の目標ですが、ひとまず抗がん剤治療は3週間を1クールとして、それを8クール行うというプログラムになっています。

だから当面の目標は、24週間を完走するということになります。

つまり半年間です。来年の3月末ということになります。

誤解がないように書いておきますが、これは余命ではありません。

僕は自分の余命がいつまでなのか知らないし、主治医にそのことを訊く勇気はまだ持てないでいます。

だから、来年の3月末は余命ではなく、当面の(短期的な)目標ということになります。この点はくれぐれも誤解しないでください。

その期間を超えて生きている可能性は勿論あるし、こんなことを言いながら、意外とケロッとずっと生きているほうが、僕らしいような気もしています。

学生のころから、僕は格好はつけるけど実際はわりとかっこ悪かったからね。死ぬ死ぬと騒ぎながら案外ずっと生きているほうが似合っているかもしれません。

そのようにありたいと願っています。


みんなすごく久しぶりに会ったのに、こんなたいして面白くもない話をするわけにもいかない。

お互い、積もる話はもっと他にたくさんある。

でも、あなたたちがこのタイミングで同窓会を企画してくれたきっかけに、僕の病状があったことも確かだと思います。

今日もキャンパス内を歩きながら、何度も皆の配慮を感じました。


知りたいけど、こんなことちょっと訊きにくい。という気持ちもとてもよくわかります。

だからここにちょっと書いておきます。



久しぶりに会えてよかったです。

多くの場合、「これが最後」というわかりやすい別れ方はないのだと思います。

「あれが最後だった」というのは、後で振り返ってはじめてわかることです。

だからいつだって、しょうもない話をして笑いあったら、「また会いましょう」と言いながら手を振って別れる以上の方法はないのかもしれません。



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