top of page
  • 執筆者の写真みずき書林

『いかアサ』速報⑳――ブッケン卿からの手紙


『いかアサ』、発売から1週間が経ち、ようやく読者の皆様のお手元に届きつつあります。

目下の状況をあらためてまとめておきますと、


1.店頭は注文をもらった書店さんにしか配本されていません。お店の規模には関係ないので、ご注意ください。お店で入手する一番確実な方法は、店員さんに言ってご注文いただくことです。

注文の際には、山田南平先生が便利な注文用画像を制作くださっています!


そして、「欲しいのは欲しいが、店頭で3冊並んでいるのを見たい!」というTwitterの声もいただいており、ありがたい限りです……。

たしかに、注文されると、カウンター裏などに取り置きされるので、店頭で積まれている様は見られませんね……。

いまのところ、新宿紀伊國屋本店さんの1Fが、一番壮観かもしれません。

お近くの方は、ぜひご覧になってみてください!


2.ネット書店での購入の場合も、在庫ありとなしで別れます。

18日夕刻の時点で、即発送できるのは(この点は刻々と変化するので、ご注意が必要ですが)、

・honto

・HMV

・Amazon

となっています(なお、楽天ブックスは本日注文が来たので、近々補充されるはずです)。

ネット書店での在庫状況については、版元ドットコムのサイトからそれぞれに飛べるようになっているので、便利です。


3.増刷は3月下旬以降に市場に出回る予定です。

23日(土)のB&Bイベント、24日(日)の大阪イベント、ともに会場でお求めいただけます。


以上、現状のまとめとなります。

よろしくお願いいたします。



さて。

以上は前置きで、ここからが本題なのですが。


本がある程度読者の皆様に行き渡りましたので、けっこうな大ネタをご披露したいと思います。


巻末の著者プロフィールは、ふつうは50音順に並べたり掲載順に並べたりするものですが、今回は円卓状のレイアウトにしています。

そして通常のプロフィールとは別に、好きなキャラクターやお勧めのアーサー王作品についてのアンケートも掲載しています。

これもひとつずつがとても楽しいものなのですが(やはりガウェイン強い)、そのなかで斉藤洋先生のみすべて「回答なし」となっているのにお気づきでしょうか。


これにはわけがあり、アンケートをお願いした際に、

「『アーサー王の世界』を執筆中の自分には〈思い入れのある騎士〉は挙げようがありません。そしてお勧めの作品といえばどうしても自分の作品になってしまうけれど、そうもいえないので「回答なし」でお願いします」

という趣旨のご丁寧なお手紙をいただいていたのでした。



なるほど。少し残念ですが致し方ないですね、と思っていましたが、そこですんなり諦めないのが(笑)、我らが編者・小宮先生。

「斉藤先生の『アーサー王の世界』のオリジナルキャラクターである騎士ブッケンが回答する、という態で文章をいただけないでしょうか?」という起死回生のアイデアを考えつかれました。


それは……そんなことができたら何て楽しいんだ……っと思いながら、祈るような気持ちでお手紙をしたためました。

それを投函したのが、週明け月曜には印刷所に入稿ね、というタイミングでした(斉藤洋先生はメールを使われません。そしてどんだけバタバタだったんだ)。



この提案に対する回答は、残念ながら入稿のタイミングには間に合いませんでした。

また増刷分についてもあまりにも緊急だったために、この処置を行うことはできませんでした。


しかし、ブッケン卿からの回答は、届いたのです……!


今回は、ブッケン卿からの回答を大公開します。

斉藤洋先生の「回答なし」の裏に隠されたドラマと、ブッケン卿の真摯なる回答を、どうぞご覧ください。

とても素敵で、アツいテキストです。



~~~~~


ブッケンからの回答


かのユーサー・ペンドラゴン王の子、アーサー王家中の騎士たちについて、その好悪をというお話しではあるが、もとより、イングランドにとって異国の騎士たる私に、そのような好悪の感はない。あるとすれば、好悪ではなく、敬意と侮蔑だろう。しかし、侮蔑の念を口や筆にするのは一騎士たる者のなすことではない。許されるのは、敬意の表明だけだ。

私がイングランドの騎士の中で、一目置かねばならぬと思うのはエクター卿である。かつて私は復活祭の馬上槍試合で、エクター卿と槍を合わせ、決着がつかなかった。むろん、それも私の卿への敬意の理由である。しかし、もちろん、それだけではない。これは、漏れ伝えられて、私の耳に入ったことだが、卿は、大魔法師の称号を持つマーリンから預かった赤ん坊をわが子同然に育てられたそうではないか。アーサー王がイングランドの王として、ふさわしいか否かは、ザクセン人たる私が述べることではない。 しかし、王としての資質はともあれ、また、アーサー王がいずれ王になるかならぬかは別として、卿がいわば他人の子をわが子同様に育てられたことだけでも、卿は騎士とて、いや、それ以前に人として、尊重されてしかるべき人間である。


ザクセン人騎士 ブッケン



素晴らしい回答をありがとうございました!


最新記事

すべて表示

「川の中の大きな岩になること」

山田南平先生が、先日の往復書簡を受けてブログ記事を書いてくださっています。 いつもブログを読んでくださり、ありがたいことです。 堀くんともども、励みになります。 『自省録』と般若心経の共通点について。 二十歳頃に般若心経に出会った山田先生が、それ以来ずっと指針にしてきたというのはちょっとした驚きでした。 首尾一貫したアーティストの人生には、やはり何らかの指針となるものがあるものなのでしょうか。興味

bottom of page