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  • 執筆者の写真みずき書林

あの人が〈見てきたもの〉

更新日:2022年5月24日

腹痛は収まる。

原因は不明なれども、痛みがなくなったことをよしとしよう。


*


この週末に、夜になったばかりの琵琶湖を眺める機会があった。


たまに、誰かが〈見てきたもの〉のことを考えてひとりで勝手に感動することがある。


たとえば、知り合いの旅人/写真・美味しいもの愛好家は、シリアやイラクなどといった場所やダゲスタン共和国といったあまり聞いたことがないような国も含めて、世界中の国々を見てきた。


ドキュメンタリー映画監督は、マーシャル諸島共和国という、これもまた多くの人が行くわけではない国の景色を見つめてきた。


探検家は、北極と南極という、この地球上で究極的に遠い地域の風景を見ている。


写真家は、サハリンの、あるいはチュコト半島の人びとの表情を知っている。


エッセイスト・ラジオパーソナリティなど様々な仕事をしているtalentedな人は、まさにその多才さゆえに、いろんなこと(それを列記するだけでも大変だ)を見聞している。


画家は、〈見てきたもの〉という経験そのものを異化する。その視点は、われわれと同じ世界にいながら、われわれが見ていないものを見ている。



事程左様に、僕はだれかが〈見てきたもの〉に思いを馳せて、網膜を通して彼ら彼女らの記憶に定着している風景を想像してみることがたまにある。


たとえばその人と向かい合ってごはんを食べているとき、並んで歩いているとき。もしかしたらその人はいま目の前にある景色ではなく、記憶の中の遠い風景を眺めているのではないかと想像してみる。


彼ら彼女たちが見てきたその風景を僕が見ることは、おそらくない。

その景色は、こうしている今も、遠いどこかにある。


うまく伝えられないけれど、すぐ隣にいる人が僕が知らない遠い景色の記憶を持っていると想像することには、なにがしか心を揺さぶられるものがある。茫洋と広く、少しだけ寂しく、なんだか敬虔な気持ちになる。





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