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  • 執筆者の写真みずき書林

みずき書林の刊行物④『マーシャル、父の戦場』


4点目の、今のところ最新の刊行物。

奥付日は7月3日(佐藤勉さんの誕生日です)。


とりあえず、書籍の内容については情報てんこ盛りの特設ページを作っていますので、そちらをご覧ください。


また書籍内でも言及され、このブログでも度々触れている、本と姉妹編になっている映画『タリナイ』についてはこちらをご覧ください。

(映画については目下アップリンク渋谷で公開中ですが、そのほかでも劇場公開が決まっていますので、その話もいずれまた)



この本のバックヤードについてはいろいろと書きたいことがあります。

楽しい本作りでした。


5月8日、巻頭を飾る大林宣彦監督のインタビューに行った日も印象的でした。

14時から取材開始だったので、いちおう事前に軽く打ち合わせをしましょうということで、われわれ取材班は13時に監督の事務所があるマンションのすぐ隣の喫茶店に入りました。

取材班は3人。

編者の大川史織さんと、執筆陣のひとりである国立歴史民俗博物館の三上喜孝先生がインタビュアー。僕は録音と撮影担当です。

この3人は、ちょうど10歳ずつくらい歳の差があって、大川さん30歳・僕が40歳・三上先生が49歳のチームでした。

取材の日が決まるまでの2カ月ばかり、われわれはメールでさんざんやりとりをしていました。なので打ち合わせといっても、特に決めなければならないことがあるわけではありません。

ただ、1時間の予定であるインタビューの最終確認ができればというくらいの気持ちでした。

しかし、集まったわれわれは、、ちょっとどうかというくらい緊張していました。

持参した大林監督の著書をぱらぱらとめくり、顔を見合わせて相手が緊張していることを確認しあっては、お互いの緊張を高めあうばかりなのでした。


僕は仕事がら、こういった取材の機会はそこそこありました。著名人にも威圧感のある人にも話を聞きに行ったことがあります。しかし、こんなに緊張したのは久しぶりでした。

すでに報道されていたとおり、大林監督は当時病気で余命幾ばくもないといわれたところから、奇跡的に復活を果たした直後でした。この日に決まるまでに、二度の日延べもありました(いま思えば、それは新作の撮影開始直前のタイミングでしたので、日延べはその準備に関わることだったのだと思います。ただ当時は、監督の体調を心配するばかりでした)。

そういうこともあって、僕はかなり神経質になっていたと思います。


大川さんはマーシャル在住時に監督の『この空の花』上映会を開催したことがあり、また取材日の数カ月前に長崎かどこかで監督に会っていたはずです。そういう意味では初対面ではないはずなのですが、やはり緊張していました。


そして頼みの綱の三上先生もまた、われわれと同じくらいにガッチガチなのでした。

三上先生は子どものことからの大林ファンで、監督の著作は断簡零墨に至るまで読み漁り、ロケ地の聖地巡礼までするという筋金入りのファンです。本人に会う、ということがどれほどのインパクトを持つことなのか想像に難くありません。というわけで、最年長の国立機関の教授も、きちきちと四角になっています。


定刻になり、われわれはほとんど無言でエレベーターに乗り込み、おずおずと監督の事務所に入ります。

その前の打ち合わせがやや押していて、別室でしばし待機することになりました。

編集機材などが並んでいる一室で、われわれは押し黙って、プリンのように椅子に座っているばかりなのでした……。



このあと、われわれは1時間のつもりでインタビューを開始し、結局は4時間も監督の話を聞けることになります。

緊張感はいつの間にか高揚感に変わり、事務所を出たわれわれは、夢のような時間を過ごしたことにはしゃいでいたのでした。


まるで子どものように緊張し、食い入るように話を聞き、興奮した一日でした。


そんなふうに作った本でした。



話の流れを走り書きした当日のメモと、監督を囲む大川さんと三上先生。

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