今週号の『週刊読書人』に、福間良明先生編『昭和五〇年代論』の評が掲載されました。
評者は好井裕明先生。
「実際にその時代を体験してきた著者の文体と過去の歴史として振り返り分析する若手研究者の文体には明らかに違いがあり」という指摘がありました。
僕自身は昭和53年生まれで、明確な記憶はないものの、昭和50年代に幼少期を過ごした世代です。
そういう意味では、実際に体験したというにはやや弱いものの、歴史として振り返るほど遠いわけではなく、「掠っている」という感じでしょうか。
ここで好井先生が紙幅を割いているガンダム(野上元先生の「修養小説の臨界」論)についても、後追いで視聴していて、ファーストガンダムは、『スターウォーズ』『ゴッドファーザー』などと並んで、僕の人格形成に大きな影響を及ぼしていると言えます。
シャアとダース・ベイダーとマイケル・コルレオーネ。善良な市民が憧れるアンチヒーロー。
そういえば。
前も書いたかもしれませんが、僕が前職を辞めてみずき書林を立ち上げる時に、『戦争社会学研究』を新しい会社で引き継ぐために、野上先生をはじめ、当時の運営委員の先生方と東大でお目にかかったことがあります。
僕は間もなく40歳になろうというときでした。
新しい会社を立ち上げるのでそこで『戦争社会学研究』を引き継がせてほしい、とお願いした僕に対して、野上先生は、
「シャアがアクシズを落としたのも30代だったな……」
と呟いたのでした。
いったいどういう思考回路でこの台詞が出てきたものか。
何だかすごく憶えている一場面なのです。
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