の発売日について。
1月予定であった刊行が遅延しましたこと、またいま現在、刊行日の表記が揺れていますこと、まずお詫び申し上げます。
現状を記しますと、書籍はすでに刊行・発売されています。
入荷や店頭での様子をSNSに挙げてくださる書店さんもあり、ありがたいことです。
ただし、お店によってはまだ入荷していないところもあります。
またAmazonや版元ドットコムなど、ネット上での発売は2月22日となっています。
「すでに発売されているにもかかわらず、Amazonではまだ発売されていない」
「店頭によってはあったりなかったりする=発売日がまちまち」
という点について、以下、いささか煩雑な話になるかもしれませんが、(そして上手に説明できるかもわからないのですが)記してみたいと思います。
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まず前提を話さないといけないのですが、みずき書林は、ふたつの販売ルートを持っています。
ややこしい流通事情については割愛しますが、
A.取次レスルート
B.取次ルート
というふたつのルートで書籍を流通させています。
このふたつはともに「注文出荷」となります。つまり、注文をくださった書店さんにだけ、本をお送りしているということです。
そして2月16日現在、Aのルートで注文された本(注文全体の90%程度)はすでに出荷されています。
問題となるのは、「BのルートでAmazonに入荷するのは少々時間がかかる」ということです。
ふたつ目の前提として、
「店頭によってはあったりなかったりする=発売日がまちまち」
について、「本の発売日はあってないようなものである」ということを付け加えておきたいと思います。
週刊誌や月刊誌、あるいは有名小説家の新刊とか、人気のある漫画を除けば、普通の単行本の発売日は、厳密ではありません。
出版社による発売日の設定はもちろんありますが、店の場所によっては本が届くまでに数日の差が出る場合もあります。また書店さんのバックヤードには届いていても、その段ボールを開けて本棚に並べる作業をいつ行うかは、当然その本屋さんに委ねられます。
また上記のとおり、小社の書籍はすべて「注文出荷」なので、どこであれすべての書店にある、というタイプの本ではありません。話題になったから後で注文される、ということもあります。
(ありがたいことに、今回の本もSNSでの反応から追加注文に至ったと思われるケースがいくつかあります)
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以上、
・流通ルートは複数あり、Amazonに入るのは時間がかかる
・発売日は厳密ではない
という要素を踏まえて、
「すでに発売されているにもかかわらず、Amazonではまだ発売されていない」
という点ですが、これについてはずっと課題として頭を悩ませています。
(この話はAmazonだけに限らず、またこの話をするのなら「仲間卸」についても書かないといけないのですが、煩雑になるのでここでは省略し、ネット書店の圧倒的最大手ということでAmazonに話を絞ります)
出版社同士のメーリスや会合でも、Amazon対策はしばしば話題に上がります。詳細は多岐にわたるので省きますが、最大手を除けば、Amazonと良好な関係を築くのはなかなか難しく、簡単に言えば、「仲良くしないといけないんだけどあんまり気が合わない隣人」のような存在なのです。
しかしこの隣人は市場で大きな力を持っています。地元の商店街の横に建った大型スーパーみたいなもので、なんのかんのでみんなここで買い物をします。
多くの読者さんや著者の方が、そしてもちろんわれわれ版元も、Amazonに在庫があるか/ないか、Amazonでレビューがあるか/ないかを気にします。Amazonはある種のインフラと化しているともいえるでしょう。
(賛否はあるにせよ、企業としてそこまでの存在になるのは、やはり偉いことだとは思います)
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さて、ご存じのとおり、Amazonにはいくつかの表示があります。
「ただいま予約受付中です」から「在庫あり」にスムーズに移行するのが一番です。「残り○点(入荷予定あり)」も、すぐに買えるという意味では読者にとってOKです。
しかしこれが、「一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です」となったり、「カート落ち」といって「カートに入れる」がクリックできない状態になると、版元としては頭を抱えることになります。
この状態になると、経験的にいって、在庫を復活させるためにはそれなりの手間と時間がかかります。
発売日と同時にいきなり「一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です」となるのは、避けたいところなのです。
そして、Amazonで発売日に「在庫あり」にするためには、かなり前に本をAmazonの倉庫に搬入しておかないといけません。
完成してから発売日まで2週間余裕を持たせれば、書店店頭での発売日とAmazonでの発売日を合わせることができるとされています。
ということは、正解は、
「2月8日頃に出来上がった本であれば、2月22日に発売日を設定する」
なのです。
対Amazonを考えれば、これが正解ということになります。
ただし版元としては、やはり出来上がった本はなるべく早く届けたい、という気持ちになってしまいます。
とくに今回は刊行予定が遅れていたので、注文をいただいた書店さんには可能な限り早く店着させたいと思ってしまいました。
(そして「A.取次レスルート」は、完成した翌々日には各店頭に向けて出荷が可能なのです)
Amazonであれどこであれ、買ってくださる方に差はありません。みんな同じタイミングで発売日を合わせるのが正解なのだと思います。しかし現場の心情として、「Amazon合わせで発売日を伸ばす」という選択肢を選びにくいことが、しばしばあります。
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そこで今回は「A.取次レスルート」で書籍を発送した直後に、発売日を2月22日に切り替える、という方法をとってみることにしました。
この方法が上手くいくかはやってみないとわかりませんが、こうすれば、店頭には早く届けることができ、かつAmazonで予約状態から「在庫あり」にスムーズに移行でき、「在庫切れ。○カ月かかります」という表示にならないですむ(と思われる)ためです。
これはあえてやったというよりは、上述のとおり、すでに遅れていた刊行をなるべく早くしつつ、それでいて「在庫切れ」を避けるために、苦肉の策として実施したというほうが正確です。
もちろんオンライン上の発売日は「2月22日」に切り替わりますが、すでに書店には届いているのだから、ネット上の発売日をそこまで気にすることはないだろうと考えていました。
しかしその結果、SNS上で、発売日の揺れについて心配されている声に接することになりました。
お客様に混乱させ、ご迷惑をおかけしてしまうことになり、深くお詫び申し上げます。
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上述のとおり、今回は、
「書店で先行発売しつつ、発売日を調整することで「在庫切れ」を防ぐ」
といういささか迂遠な方法をとることになってしまいました。
今後の対策としては、やはり編集のスケジュール管理をしっかりするのが先決だと思っています。
印刷製本の期間まで含めて、いつ本が完成するのかをはっきりさせておけば、そこから逆算して発売日を決めることもできますし、もちろん余裕をもって2週間の幅をとることもできます。一度設定した日にちを動かさないことは、編集管理の仕事です。
今回のような流通・営業面での設定ミスは、自分が流通のことをまだまだわかっていないという面もあると同時に、そもそもの編集上の進行管理の課題でもあるのだと思います。
たとえば、いま話題にしている2冊の、次の刊行物については、「2月中に完成させ、刊行は3月」ということを1年以上前から設定し、著者や関係者とも共有してきました。
予定通り、2月17日に完成し、発売日は3月5日に設定しています。
理論上、書店で発売と同時に、Amazonでも「在庫あり」になるはずです。今回の反省を活かしつつ、次の本で改善できればと考えています。
(もし次回も上手くいかなければ、やはりもう一度勉強して対策するしかありません)
正直なところを書くと、刊行日がずれることが、著者や流通関係者以外で話題や課題になる本は、それほどありません。
つまり、Amazonとの発売日のずれ等がSNSで呟かれ、「まだ手に入らない」という声が聞こえてくるということは、その本が注目されている証左であると考えています。
(実際、近年の小社アイテムでこういうことが話題になったのは、『いかアサ』『この世の景色』で、この2点はともに売れ行きが良くて増刷しています。)
もちろん、こういう課題があがらないように、編集~流通面をしっかり整えておくことが重要なのは言うまでもありませんが、気にしてくださっている方がいることは、反省の中にも、実にありがたいこととして受け止めております。
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最後に、「では結局、現時点で一番早くて確実に入手する方法は何か?」ということですが、
1.お近くの書店さんに注文いただく
昔からある、もっとも確実な方法です。その本屋さんが「A.取次レスルート」「B.中堅取次ルート」のどちらの方法で注文するかによりますが、数日内にお手元に届きます。
2.小社オンラインショップ
出版社のサイトでわざわざ買い物をするお客さんは少ないとは思いますが、出版社直営なので、入手方法としては確実です。小社の場合は1000円以上のお買い上げで送料無料。「3~5営業日内にお届けいたします」と書いていますが、当日中・翌日の発送を目指しています。
現時点では、以上が確実な方法になるかと思います。
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「ひとり出版社」であるゆえに、こういう問題を克服する責任は、すべて私ひとりにあります。
ご迷惑・ご心配をおかけしており、申し訳ありません。
Amazonも含めてすべての流通チャンネルで本が入手できるようになるまで、今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。
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(それにしても、『いかアサ』といい『この世の景色』といい、毎回新刊が出るたびにこういう話をしている気がします……。この2冊の関係者の方が、これを読んで大苦笑しているのが目に浮かびます。成長していないことで申し訳ありません……)
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